手を伸ばして

全部消えてしまえばいいと不貞腐れた「僕」

全部飲み込めやしないと不貞腐れた「僕」

棚に上げて「僕」は「僕」を殺そうとする

あした来ない　と「僕」はわらう
こんにちはと　「僕」がののしる
大丈夫と　「僕」は死にかけ
愛してると　「僕」は「僕」を殺す

消えゆくのを許してほしいと泣きじゃくる「僕」

殺したいと「僕」を見てあざわらう「僕」

「僕」は一人だと「僕」が遠くで笑う

本当に？

「僕」は「僕」に問いかける
「僕」は少し笑う

「僕」の知らない笑いかたで

「僕」しかしない笑いかたで

お前も分かるよ

などと

首を締め始める

「僕」は何度目かの愛を誓う

ごめんねの言葉を添えて

悪臭を放って
見えないところで花を飾られていても

「僕」は「僕」以上でない事を思い、望み、願う

「僕」はまた首を絞めている

明日の「僕」が怖くして仕方ないと泣きじゃくる昨日の「僕」を殺して

「僕」が今日になる

消えていった

悪臭と化した「僕」に花を添え

ごめんねとふたを閉めて

「僕」は明日の「僕」を怖がりながら

今日一日の命を生きていく

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