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人間が嫌いな未成年。 たまに2次創作3次創作を打ちます。 完全オリジナルも打つ時もあります。 このブログを見た貴方と縁があること祈って・・・。
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本編がまだ終わってないのに。
人魚の王子様です。
私は結構この人が好きなんですよね。

これ読んだ後なら許されることもあると思いますよ。

書き終わった~。
彼は一体何時になれば報われるのだろう~的な。


もう嫌だ・・・。
何で僕だけがこんな思いをするんだろう・・・。
僕は国の為だけに生きるのか・・・そんなのいやだ・・・!

”王子様、14歳のお誕生日おめでとうございます。”

うるさい、誰もそんなこと思っちゃいない癖に!
誰もが僕にこう期待する。

僕にこの国を出て行けと。

僕は正規の王子じゃなかった。
僕は王とメイドの間に出来た偽物。

”偽物出ていけ!”

本当の王子は死んでいた。
世継ぎがいなかった王は

奴隷同然だった僕を後継ぎにすると発表した。

「王子様!おはようございます!」

そういうのはしつけされたメイド。
悟られないように見かけだおしの面を下げて、ニコニコ気持ち悪いくらいに笑っている。
手には何か書いてある石。

「・・・。」

それをメイドの手から乱暴に奪い取った。
メイドは奪い取った際に割れた爪を気にしていた。

「下がっていいよ。」

それに黙って従うメイド。
目には憎しみが映し出されて、唇からは血が流れて。

「そんなに憎い?」

それにはっとしたように部屋を出ていく。
ここに来てから何年が経っただろうか・・・。
毎日同じ部屋の風景にはそろそろ飽きてきた。

話す相手も遊ぶ相手もみんな胡散臭い笑みを浮かべて僕を軽蔑する。
誰も見ていないところで囁く、それは一種のゲームで。
僕はそれに黙って頷く。
”これはゲームなんだ、お前もやるだろう?”
”ゲームなんだろう?”

「お母さん・・・。」

石の手紙を大切に置く。
書いてある内容は何時も同じだ、
”大丈夫?元気?”
自分の心配なんてしない母に少し笑みを浮かべる。

髪を整えて、食堂に向かう。
王と妃が僕に軽蔑の眼を向ける。

「ここに来るなんて薄汚い」

王は黙って食事を続ける。
僕もイスに座ってあき始めた食事を始める。
妃の目つきが僕を抉ったけれどそんな事を気にせずに胃に物を詰めていく。

有る程度腹が膨れたときに王は話し始めた。

「スレーブ、お前は自愛姫と婚姻を結ぶことになった。異存はないな・・」
「自愛姫と・・・。」

自愛姫それは噂では海底で一人鏡を見続ける姫様だとか、
噂にはとても美しく歌もうまい人だとか。

そんな人と仲良くやっていけるのだろうか・・。

「まあ!自愛姫と?この子ならやっていけるわ!この子はあの女の子だもの!」
「止めないか・・・エンビー・・・」

高笑いを続ける妃に王は顔を歪ませる。
空気に耐えられなくなり僕は食堂をでた。

あんなところに何時間も居ると考えるだけでぞっとする。

”奴隷がこの部屋に入るなんてなんて図々しい!”
”貴方はねあの女に捨てられたのよ!可哀想な子・・・あの女から生まれてきたからこんな目に遭うのよ”

部屋から見る景色は何時もと何ら変わりない。
どこか懐かしい記憶がよみがえる。

 

『お母さん、僕たちはどこに行くの?』

母はそれにはけして答えず、何も語らずに海を泳いでいた。
その時美しい歌声が聞こえた。

『・・・』

僕はそれに誘われるように聞こえるままに海の底に落ちていく。
そこに居たのは動かない人魚だった。

死んでるの・・・?

『何か頂戴・・・もう・・・5日も何も食べてないの・・。』
『・・・。』

僕は鞄の中からかすか残って居た海藻を少しだけ分けてあげた。
それに少女は嬉しそうに貪る。

それをみて少し嬉しくなる。
僕が役に立ってる・・・・・。

遅れて母が海底に姿を見せる。

『早くしないと…。』
『ありがとう・・・』
『君の名前は?僕はスレーブ!』

それに驚いたように少女は答えた。

『名前なんか無い』
『スレーブ時間が無いわ!』

母の何時も以上に厳しい物言いに僕は驚いて唖然とたたずむ。
それを見かねて母は無理やり僕の手を握ってまた泳ぎ始めた。

『お母さん・・・あの子また歌っているよ・・。』
『…』
『何で歌うのかな・・・またおなかがすくのに・・・』
『…』
『何で・・・』

そんなにも美しい歌をそんな哀しげな声で歌うのかな・・・。
僕には理解できなかった。

今なら分かる気がする少女が歌い続けるわけが。

「王子!自愛姫との謁見日が明日となりました。」
「・・・。」

僕をどうしようと言うのか・・・。

「あのスレーブ王子・・・?」

僕は騎士の胸倉を掴んで叫んだ。
お前らにけがされた名前。

”お前は奴隷なんだろ?”

_____________________煩い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
黙れお前らに何が分かるんだ!!!!

”可哀想に親に捨てられるなんて_______”
”聞いた?あの子奴隷ですって”
”図々しい子ね”
”スレーブって言うんですって”
”スレーブ・・・なんて酷い名前かしら”

「その名で呼ぶな!!!!」
「も・・・申し訳ありません!!」

僕は騎士を投げ捨てて部屋に入った。

”スレーブごめんなさいね・・・”
”王子様だ!!厚かましい女だな!!”
”止めて・・・”

貴方だけに呼んでほしかった、僕の名前。
もうその願いはかなわない。

城に向かうが自愛姫はいなかった。

「スレーブ殿・・・」
「王様・・・。姫様は・・・?」

王様は目線を離して申し訳なさそうに話し始めた。

「実は・・・嫌がっての・・・海底に居るんだ。」
「私が向かいに行きましょう・・・。」
「本当かね!?」

僕は王様の気持ちをくんで海底に脚を運んだ。
なんでも怒って姫が大事にしていた鏡を割ったとか・・・。
光が届かなくなった海底でそれを見つけるのは大変だったが、淡い光を見つけた。
探し始めて一週間がたっていたが、城に戻ったという知らせは来ていない。

「私は、目の見えない人魚です!その美しさを一目見ようとここまで来ました。ねえ!」
「え・・・ええ」

声が聞こえる。
あそこには誰かがいるのか・・・。

そこにはやせ細った人魚と泳げないのか人魚に身体を支えてもらっている人魚がいた。

「貴方達は・・・?」

泳げない人魚がこちらに振り向く。

身体に電気が走った様に記憶がよみがえる。

”また来てくれたの?”
”うん。お母さんに内緒でね、海藻持って来たよ!”

覚えがある忘れもしないあの人。
何時も歌ってくれた、何時も僕を待っててくれた。

母に内緒であの海底に脚を運んでは食べ物を与えていた。
僕よりも年上で、僕が彼女の生きる道だった。

「貴方ですね・・・。聞いていた通りの人だ・・・。」

会えたんだ・・。
懐かしいあの人と。

人魚は僕のこと忘れているみたいだった。
よく見れば初めて会ったころのやせ細った身体では無く。
健康そうな桃色の頬。柔らかい腕。

見違えるほどに彼女は美しくなっていた。

「スレーブなんだあの女は!」
「僕の婚約者です、王様。」
「自愛姫はどうなったのだ!」

王が取り乱して僕の肩を掴んで叫ぶ。
僕はそれを冷たい目で見降ろした。

「僕は王子だ!」

王は目を丸くして僕を床に下ろした。
王の歪んだ顔を笑うと、自室に入る。

「私は・・・人魚姫じゃ・・・」
「何度も言わせないでください・・・私は貴方だけが良いんだ・・・。」

優しく人魚を抱き上げる。
それを拒まずに人魚は目をつむった。

僕は人魚を愛していた。
どこのだれよりも、だけどその愛は次第に大きくなって僕は抑えれなくなった。
だけど
騎士が人魚を愛していることをしった。

「愛しています。姫様。」
「騎士様・・・。」

どうしてこんなにも大事にしているものほど無くなるのだろう。
隠せば良いのか・・・?
それとも誰にも触れなさせなければ良いのか・・・?

だけどそれをしたところで彼女の心を振り向かせることは出来ない。
僕はまだ14歳。
騎士は僕よりもずっと大人で信頼もされている。

勝ち目が無い戦いだった。

彼女を抱きしめても彼女は黙ってそれに従う人形でしかない。
どうすれば彼女を大切に出来るんだろう。
王子と言われているけれど僕には何もできない。

「貴方は私のことが好きですか?」
「王子様?・・・好きですよ。」

その笑顔は何時も見てきた胡散臭い笑み。
ニコニコするだけの笑み・・・。

貴方が幸せならそれで良い・・・。

そんなことを思ったこともあったけれど、僕は彼女を手放したくなかった。

「騎士様今宵も海面へと連れて行ってください。」
「姫様、昨晩のことをお忘れですか?」
「私が連れて行ってあげましょう。」

これは騎士に対する。ささやかな反抗、それだけ。
海面へとでて人魚が歌う姿は時々遠く感じたけれどそれでもその姿が僕は好きだった。

愛してる。
だけどそれを求めても彼女は壊れてしまうだろう
愛してる。
彼女は決して僕には言ってくれない言葉
愛してる。
忘れていた記憶でも彼女が生きているなら

僕は誰よりも貴方を愛しています。
例えこの身が朽ちたとしても貴方を護りたい。



人魚姫 外伝 人魚の王子

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