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人間が嫌いな未成年。 たまに2次創作3次創作を打ちます。 完全オリジナルも打つ時もあります。 このブログを見た貴方と縁があること祈って・・・。
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暗い世界に答えなんかなかった。

だってそれが現実で俺は出会ったことに浮かれていたんだ。

あんなにも酷いものだなんて知らなかったから。


 
 
 
震えた声で菊が答えれば静かにアーサーは笑ってフランシスを見た後ルートヴィッヒに目をやった。
 
「お前はどうする?」
「・・・?」
 
アーサーが逃がしてくれるとは到底思えなかった。
ならばココは戻って良いかもしれない、今まで以上の警備になるだろうがそんなものルートヴィッヒには居ないも同然だった。
 
「申し訳ありませんでした、アーサー様。」
「もうするなよ。」
 
アーサーは皮肉まじりの言い方をした。
なんなら逃げてくれても構わないと笑うが、そうすることによってルートヴィッヒで暇つぶしをしているようなものなのだ。
 
それを何となく感じ取った騎士たちはルートヴィッヒの腕を離した。
つまり遠まわしに逃げてと言ってるようなものだ。
だが、ルートヴィッヒが姿を消して取り乱すのもア―サーだ。
 
「・・・。私が居てはいけませんか?」
「いや?お前が素直でいい。」
「アーサー様、フランシスの方はどうなさいますか?」
「その辺りにでも捨てて置け。」
「は!!」
「アーサー。」
 
低い通った声が洞窟の中を響いた。フェリシアーノだった。
少し怒っているのか声が震えている。
 
「返せよ・・・。」
「・・・無理だ。」
「嫌だ!!返せ!!ルート!!ルートヴィッヒは俺のものでしょう!?」
「・・・。」
 
ルートヴィッヒはゴミを見るかのようにフェリシアーノを見た。
その視線にフェリシアーノは凍りついた。
 
そんなわけがない。
 
俺の前では何時も困っていたけれど、怒っていたときも有ったけれど。
 
こんなルートヴィッヒ知らないよ。
 
止めて俺なんて知らないって顔しないでよ。
俺はずっとルートヴィッヒを待ってたのに、俺必死でルートヴィッヒを探していたのに。
 
「・・・・っ!!こんなの認めない!!俺は認めない!!」
「ああ、認めなくていいぞ。ルートヴィッヒ、菊を王宮まで連れてきてくれ。俺はコイツに用が有るんでな。」
 
アーサーはフランシスを見て、次にルートヴィッヒを見た。
おそらく皮肉でもぶつけるつもりなのだろう。
 
「かしこまりました。」
 
ルートヴィッヒは菊をアーサーから渡された。
そのまま数名の騎士たちとともに洞窟を出ようとしたが、何者かの手に拒まれた。
 
「待って・・・!!ルート・・・ねえルート。」
 
バちん!!
 
ルートの手の平がフェリシアーノの左頬を思いっきり打った。
力加減をしたものの、体重の軽いフェリシアーノは簡単に投げ飛ばされてしまう。
壁に軽く持たれながらフェリシアーノは切れた口を右手で拭うと流血していることに気がついた。
それに菊は震えながら見ていた。
 
反抗したら私もこうなるんだ。
 
恐れが菊の中を駆けずり回った。
怖い恐ろしい。
 
それを横目で見ているのはアーサーだ、眉一つ動かさずルートの行動を待っている。
 
「・・・貴様は俺が誰か知っていないようだな。俺はアーサー様の右腕的存在。お前など知らない。」
「・・・。」
 
信じられないと言うよりは憎しみをこめた目をフェリシアーノはルートにぶつけた。
その目を見てルートの額の皺が一つまた増え、菊は抱きしめていた腕の力を込めた。
 
それにルートは気が付き、自分が苛立っていることに気がついた。
もう一度フェリシアーノをみて細く笑った。
 
「貴様には、男としての威厳が足りないようだな、俺が叩きな・・」
「そこまでにしてやれよ、はは・・・フェリシアーノにココまで言うやつが居るなんて・・・・ははは!!お前本当にいて良かったぜ。聴こえてたか?自愛姫殿。」
「・・・。」
 
その質問にフェリシアーノは黙ってアーサーを見た。
ルートは顔が真っ青になって震えだした。無理もない初めてフェリシアーノが自愛姫だと言うことを知ったのだから。
ルートヴィッヒの様な一般兵士には到底出会える筈もない、北イタリア王国の現王子フェリシアーノ・ヴァルガスなのだから、普段なら目を合わすだけでも一苦労するだろうと言われている我儘な王子様なのだから。
 
噂には聞いていたがまさかここまで狂っている奴だとはルートヴィッヒは夢にも思わなかっただろう。
 
「大丈夫だ、ルートヴィッヒ。怖がらなくても、俺が居るだろう?俺はイギリス王国現王アーサー・カークランド様だぜ?もう行った方が良いんじゃないか?フェリがヒスを起こすのも時間の問題だからな。」
「はい・・・。」
 
逃げるようにルートヴィッヒとその他兵士たちは退いた。
残されたフランシスとアーサーはフェリシアーノがヒスを起こすのを待っていた。
 
「フェリシアーノ大丈夫か?」
 
アーサーが差し出した手をフェリシアーノは弾いた。
フェリシアーノはアーサーに憎しみに溺れた顔を向けた。
その瞬間アーサーの顔付きが変わっていく、そしてフェリシアーノに吐き捨てた。
 
「そうじゃなきゃ、これで潰しがいが有るってもんだ。」
 
フェリシアーノは鋭い目つきでアーサーを睨んだが、この暗さではほとんど分からなかった。
だが、口を開き声を殺して言葉をこぼした。
 
「・・・。餓鬼が」
「まだ、物を言う元気は有るみたいだな。」
 
そんなやり取りを聞いてフランシスは深いため息をついた。
 
「お前らいい加減にしろ、これでお開き・・」
「なんだよお前まだ居たのかよ、へ、お生憎様俺も見えないんだよ。」
 
それがフランシスに対する皮肉で有ることは分かっていた。
菊は連れていかれたが、心配はしていなかった。
コイツのことだから弄ぶだけだろう、14歳の少年に一体何が出来ると言うのだ、せいぜいキス止まり。
フランシスは経験上分かっていた。決してアーサーが素直に行動できないことに。
だが、それを踏まえても菊を失った事とまさかこの2人にまた絡まれるとは思っていなかった所為も有り苛立っていた。
 
「っち!・・・フェリシアーノ。自国に帰ってやれ、さっきからロヴィーノがこっちを見てる。」
「見えんのかよ。」
 
アーサーが有りえないと言いたげにフランシスに訴えるがフランシスは洞窟の出口から目を離そうとはしなかった。
 
「感じるつった方が早いな、目が残念なことになってから6感の方が冴えてんだよ。」
「・・・へえ、それはフェリシアーノに感謝しなきゃな、その目やったのはフェリシアーノだろ?」
「・・・。忘れたよ。」
 
アーサーの皮肉に付き合っていたら死んでしまいそうだ。
さっきから殺意をむき出しにしているフェリシアーノを何とかしたほうが良さそうだ。
今にも襲いかかりそうな雰囲気を醸し出している。
 
「・・・フェリシアーノ言っただろ?帰ってやれ。」
「…兄ちゃんは俺だけを愛せば良いんだ。ねえ?ねえ?昔みたいに俺だけを見ててよ。知ってるんだよ、兄ちゃんが俺をじっと見てたの。だから、俺は兄ちゃんだけを愛したのに。兄ちゃんは俺のこと嫌いって言うの?あの夜を忘れたとは言わせないよ、兄ちゃんと俺一つになったでしょ?」
 
その言葉に声を失ったのはアーサーだった。ショックだったらしい。
だが、フランシスはいたって冷静にフェリシアーノをうながした。
 
「・・・フェリシアーノ。」
 
すこしの沈黙の後フェリシアーノは口を開いた。
 
「・・・良いよ今日は帰ってあげる。」
 
必死に声を抑えていたが、声が震えていた。
怒り狂っているのだろう。だがそれ以上にフランシスはおびえていた。
 
「・・・あ・・・あのさ今のどういう意味だ?フェリシアーノと・・・そのどうのこうの・・・。」
 
驚いているのか、動転でもしているのだろうか?
まあ、そう言うことに面識が薄そうな少年にとって今の会話はある意味昼ドラ並に衝撃的だったのだろう。
顔がまだ赤面している。
 
何となくそんなことに気がついたフランシスは少年らしい行動に苦笑した。
フランシスはアーサーの頭をくしゃくしゃと撫でた後、洞窟を後にした。
だが
アーサーは羞恥に耐えきられなくなって叫んだ。
 
「バカにするな!!!この裏切者が!!」
 
その声は洞窟の中で反響するだけで言葉は帰って来なかった。
独りのこされたアーサーは洞窟の奥に入って食事の置いている部屋に入った。
 
「なんだよ。結局また俺一人かよ。」
 
「・・・みんな俺の事嫌いになっちゃったのかよ・・・。」
 
その時鏡が目に入った。ここでは既に目が慣れてしまって大概のものは見えるようになった。
アーサーは少しずつ近づいた。目の前に置いてある鏡に映っているのは自分自身だった。
 
14歳の身体はまだ、フェリシアーノやフランシスとは違ってまだ未熟だった。
顔を見ればくすんだ金髪に翡翠色の目。
じっと鏡を見た。だが、瞬く間に飽きてしまった。
 
その瞬間耳の奥で何かが響いた。
 
人の声らしい。何かを話している。
衰弱している様子もないところを見ると誰かが世話をしているらしい。
 
「・・・だれだ?」
「おう!?ココですよ~。へえ~ココにフェリシアーノ君以外の子が来るなんて初めてですよ。」
「・・・、俺はアーサー。お前は・・・?」
「僕はピーターですよ。よろしくなのですよ。孤独な人魚、アーサー君。」
「・・・。」
 
 
 
 
 
 
 
 
「君は自愛みたいなこと言うだね。」
「・・・。イヴァンさんは私にノートを私に来てくださったんですよね・・ありがとうございます。資料にさせていただきます。」
 
そう言うと菊は改札の方に向かって脚を動かした、それに付いていくのは悪ぶれた様子のないイヴァンだった。
 
「なんで付いてくるんですか?」
「え?前世の君とは借りがあるから。」
「・・・ならこのノートでチャラです。」
「それは困るよ~。何のためにココに来たのか分からないじゃない。」
 
改札を抜けると雨が降っていることに初めて気がついた。
 
「ほら、僕が居て良かったでしょ?」
 
そう言って差し出された折りたたみ傘。
それを安易に受け取ろうとは思わず、菊はコンビニにでも立ち寄ろうと思った。
だがイヴァンは菊がどれだけ離れてもすぐに近づいて傘をさすのだった。
 
「菊って脚早いね。」
「・・・どうも。」
「いいえ。」
「きますか?私の家に。」
「君って独り暮らし?」
「ええ、昔は嫌ってぐらいやってくる人が居たんですけどね。今は社会人になって来なくなりましたよ。」
「ふ~ん、それって彼?」
「え・・・・?」
「菊、久しぶりなんだぞ!君は・・・?」
「ああ、僕はイヴァン。菊君に日本語を習ってたんだ。」
「そうなのかい?じゃあ早速だけど帰ってくれないか?」
「なんで?僕菊君に傘を差さなくちゃいけないんだ。」
「へえ~面白いジョークだね。安心してよ俺はちゃんと菊と一緒に入れる傘を持ってるから。」
 
「そうか、じゃあ菊君バイバイ。」
「お気を付けて、」
「君は本当に不思議なんだな誰だい彼は。」
「・・・あなたよりずっと良い人ですよ。」
「え?」
「冗談ですよ。さ、今日は餃子にでもしますか。」
「やった!俺それ食べたことないんだぞ!」
「・・・耀さんに食べさせてもらわなかったんですか?」
「まあね、彼ケチだからな。」
「へえ・・・。」

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