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人間が嫌いな未成年。 たまに2次創作3次創作を打ちます。 完全オリジナルも打つ時もあります。 このブログを見た貴方と縁があること祈って・・・。
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tod 夢小説

主人公 男性 名前なし

一度夢集房様の所で投稿したことのある、主人公設定。
っても、殆ど設定なかったけど。



例えば時間旅行が出来るとして、俺に何が出来るだろうか。
そう考えてしまうとそれしか考えられなくなって、俺は地面に座り込んだ。
視界に広がる岩肌からは流れ出る海水の音がごおごおと耳に響いて、自らの死期が近いことを感じた。

「何してんだろ、俺。」

見上げた空は空ではなく暗く湿っぽい洞窟の天井。

こんなところで自分は死ぬのだろうか、誰にも知られることなく自分は死んでいくのだろうか。

生まれは田舎で細々とパン屋を経営していた両親のもとで働いていた。
そして何故か、俺は常連客の護衛なんかやらされて、そのままダリルシェイドに住み着いたんだ。
そして、格闘家として認められて。
雇われて、傭兵とかして。なんか色々縁が続いて気がついたら俺はココでヒューゴらと新世界の為に動いていた。

田舎で育った俺にとってレンズによって進化していく社会。それは俺にとって理想だった。
ヒューゴの考えた新世界はあまりに広大でとっ拍子もない考えだったが、好奇心の塊だった俺は簡単に賛同した。

限られた人間のみの世界。それは才能的価値があると認められた者たちの作る世界だと信じて揺るがなかった。

だが、どうも俺が考えていた世界は間違いだったらしい。

何故か、洞窟内で俺達を止める奴らが出てきて、リオンを納得させていた。
それを遠くから見ていた俺はリオンと共に船で帰ろうと考えていた。
リオンを待っていた重い腰を上げると、俺は目を疑った。

何故か緊急用のリフトでリオンがレバーを押そうとしていたところだったからだ。

「何してんだよ。」
「!!止めるつもりなら、僕はお前を殺してでも!!」
「あのな。一人俺生き残っても意味ねーだろ。新世界は才能がある奴が生き残る必要がある。なんで俺が生き残ってお前が死ぬ必要があるんだ。」

遠くで声が響いた。

「リオン!お前そんなこと考えてたのか!!今そっち行くから待ってろ!!」

男が一人ポットから飛び出そうとしたとき、リオンがレバーを思いっきり押した。
男の体は急に動きだしたリフトに驚いて揺れ、そのまま不意を突かれたままリフトは上に上がっていった。

男の声が無情にも響くが、リオンは顔を青くしたまま微笑を浮かべた。
目をリフトとは違う方向にもっていって呟いた。

「聞こえるか・・・?もうすぐ海水がこっちに流れ込んでくる。そうなったら僕たちは終わりだ。」
「そっか・・・成程それでみんなさっさと上に行ったわけだ。」

俺はリオンの手を引いて、ヒューゴ達の向かった場所とはまた違う場所にリオンを投げ入れた。
リオンは一度海水に沈んで驚いていたが、俺はリオンの皮肉を聴く前に説明した。

「そこを泳いでいくと海に繋がっている。ま、上手くいけば生き残れるわけだ。」
「・・・お前は来ないのか・・・?」
「俺は残念ながら泳ぐすべを持ってない。それに上手くいかなかった場合そこは押しつぶされるだろうしな。」

リオンは顔を渋らせ、マントを脱ぎ、持っていた短刀を俺に投げた。

「それを持っていろ。そして生きて僕に返せ。」

リオンがアクアヴェイルで買ったと聞いた、キレ味に優れた短剣だった。
軽くそれを握ったまま、俺はリオンを見た。

「生きて帰って来なかったら?」
「ふん、死霊になっても返しにきそうだな、お前は。」
「おっしゃる通りで。」

その言葉にリオンは心配した顔を見せた。

「・・・陸にもルートがあるのか?」
「あるさ、だが、一度ヒューゴ達の所まで行く必要がある。残り時間次第では死ぬな。」
「・・・ヒューゴ達の向かった所は海じゃないのか・・・?」
「非常ルートがある。まあ、今から行っても間に合わないだろうけど。」

簡単に言い放った俺にリオンが怒鳴り付けた。眉間にしわを寄せて、今にも血管が切れてしまいそうだ。

「なら!!こっちに来い!」
「その海のルートは誰が教えてくれたと思う?ヒューゴ様だぜ。上手くいかなかったときリオンと一緒に潜れだってさ。俺が泳げない事を知ってるのにな。」

リオンは言葉を探すように口ごもった。

「・・・。会えるな?・・・また必ず会えるな・・・?」
「夢の中なら会えるかもしれないな。」

その時だった、勢いよく水が噴き出してきた。
一気にリオンの入った穴に入り込んでいった、そのままリオンは潜っていったらしい。

多分、水の流れで流れてそのまま海面に出ることが出来るだろう。
運次第では死ぬかもしれないが。

俺は出っ張った石に座り込んだ。流れてくる水が冷たい。
リオンは上手く海面に出ることが出来ただろうか、最後に挨拶が出来ただけでも良かったかもしれない。

「俺は何してんだろう。」

水の流れは速く今走ったところで間にあうわけなかった。
体が冷え、芯から寒いと感じる。

その震えが寒さだけでは無いのは何となくわかったが、体を暖めたくて立ち上がった。

「よし、取り合えず走るか。」

脚を踏み出すとぬめりに脚を取られてそのままひっくり返った。
水の誘導に伴ってリオンの落ちた穴に向かっているのが分かった。

泳げないのに、と断った自分がすこし恥ずかしくなったが、今更水の動きに逆らうことも出来ず、俺は水の動きに委ねることにした。






次に目を覚ました時、ココが天国でない事はすぐに分かった。
ココが天国と言うにふさわしいならタオルは顔の上にかけたりしないだろう。

「起きたか。」
「すごく低レベルな嫌がらせだな。」
「まさか本当に泳げないとはな。」
「だから泳げないっていったろ?」

俺は周りを見渡した、どうも裕福というには程遠い場所らしい。
多くのベットが並べられ、所狭しと物が散乱していた。

「ココか?ココはル・・・僕の仲間の孤児院だ。」
「フーン。ルーティさんの。懐かしいと思った。」
「お前、ルーティを知ってるのか?」
「リオン、ここは俺の生まれ育った街だぞ、知らない方が驚きだよ。」
「そうか。」
「マリアンさんはどうなった。」
「・・・・分からない。僕が生き残っていることを向こうが把握しているのかも分からないんだ。」
「まあ、何とかなると思うけどな。」
「今はココでかくまって貰っている。後でシスターに礼を言っておくんだ。」
「シスターじゃなくて、あたしに言ったら?」

ドアをやや乱暴に開けて出てきたのは、ルーティだった。
その姿をみて、俺はやっと落ち着いた。

「ありがとう、ルーティさん。」
「いいえ。私はそこの弟に聞きたいことがあったの。借りていってもいい?」
「どうぞ。」
「な!!僕はお前に話すことなんて何もない!!」
「色々あるでしょ!!両親とか、ヒューゴとか!」
「なあ、リオン。この戦いが終わったらどうする?俺は正直戻りたい。お前は?」
「・・・さあな。」
「それはまた話しあいましょ。」

リオンはルーティによって拉致されてしまった。
俺は傷ついた体を見て、生きていることを改めて感じていた。

机に飾っていた花をとって持ってみた。
小さな花だったがその可憐さは、見ていて飽きなかった。

この花をもし自分の墓標やリオンの墓標に飾るときは花束にしてほしいと俺は苦笑した。


続く

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