人間が嫌いな未成年。
たまに2次創作3次創作を打ちます。
完全オリジナルも打つ時もあります。
このブログを見た貴方と縁があること祈って・・・。
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誰からも認められない。
そんな孤独に立たされた少年が居た。
家柄だとかしきたりだとかそんな古臭いことは全部嫌いで、我儘ばかり言っていた。
城から見える海は広くて壮大で彼にとっての楽園であった。
彼の名をアルフレッドといい。
次期この城と国を背負っていく少年であった。
古臭いものは脱ぎ捨て新しいものを受け継ぎそして良いものは残していく。
それがアルフレッドに課せられた義務でもあった。
人魚姫 プロローグ 3
俺は認められなくちゃいけない。
俺は倒れてはいけない。
常に、常にトップでなければならない。
俺は国を束ねる立場となりうる存在なのだから。
理想
海の近くにあるこの城は、海に落ちていく夕日を眺めるには最適の場所であった。
アルフレッドは夕日が落ちていく瞬間が好きだった。
落ちていく夕日を眺めている間は現実から目をそらすことが出来るからだ。
彼は一国の王の息子として徹底された毎日を送って居た。
毎日好きでも無い帝王学を習い、時には女性心を掴む勉強もさせられる。
どちらかと言えば聞く派の彼が嫌々でもフルートを吹いている時は誰もが黙り込み、出来栄えを評価されるのだった。
今日は国で行われる武道大会の日だった。
若干17歳のアルフレッドは半強制的にこの大会に出ることになって居た。
開始時刻は正午。
アルフレッドは気乗りしないままに剣を取り、腕が落ちていないか確認の為に腕の立つ騎士達を集めて稽古を始めようとしていた。
朝日が軽く昇り始めアルフレッドは剣を振りかざした。
だが、一国の王子相手に騎士たちが本気を出せるはずもなく、稽古は無駄になろうとしていた。
「・・・もう良いよ君たち。もう俺疲れた・・。」
その時だった。
何かが構えていた筈のアルフレッドの剣を弾いた。
鋭く重い筈の剣はあっさりアルフレッドの手元から離れ地面にあっさりと突き刺さった。
アルフレッドが殺気を感じ、首元のナイフを交わして2・3歩後退すると誰なのか分かった。
銀髪に怪しげに光る淡い赤の瞳 ギルベルトだ。
身長に大差はないが、彼の方が年上なことも会ってリーチが長い。
だが、至近距離のみの攻撃手段が主なナイフを所持していることを考えると剣を取ればアルフレッドの方が有利なのは目に見えていた。
「退屈してたんだろう?」
「・・・君がまさか俺の稽古に付き合ってくれるなんて夢にも思ってなかったよ。」
「そうか?日頃剣は邪道だ、とか言っている奴が剣の稽古をしていること自体が理解できないな。」
「君には関係ないだろう。」
「ああ、そうだな!」
ギルベルトが脚で集めた砂を思いっきりアルフレッドにかけた。
その砂に反応してアルフレットは右腕を使って目を覆う、だが一瞬のうちに後悔が過った。
真っ直ぐに向かってきたギルベルトに左腕を使ってかわすが腕を微かに切り裂かれてしまう。
傷を確認する前に痛みが直接脳に悲鳴を上げる。
痛みに一瞬目がくらんだが、それよりもギルベルトのあまりに大きな殺気にアルフレッドは恐怖を覚えた。
咄嗟に放りだされた剣の位置を確認しそのまま
アルフレッドは体全体をギルベルトに向けたまま剣まで後退した。
ギルベルトはこちらに気づきゆっくりこっちに向かってくる。
1歩・・・2歩・・・3歩・・・あった!!
その瞬間目をギルベルトから目をそらし剣の柄を思いっきり握りギルベルトに視線を戻すが、今まで居た筈のギルベルトは居ない。
誰かが叫ぶ前にアルフレッドは奴を確認した。
「後ろだ!!」
ナイフを剣で受け止めるとギルベルトはいやらしい笑みを浮かべた。
片手で剣を受け止めたままもう片方の手でナイフとはまた違った短刀を思いっきり剣にぶつけたのだ。
重心を失ったアルフレッドはそのままギルベルトを通り地面に顔から倒れる。
ギルベルトはアルフレッドが握っている剣に体重を乗せた。
手に人間の重さが直に伝わりアルフレッドの手は痛みと微かに血が流れてきた。
「いつ・・・。」
「ん?何か用か御坊ちゃん」
「君は何故勝ち誇った目をしているんだい?もしかしたらこの一瞬で君が負けるかもしれないだろう。」
「は・・・?」
アルフレッドは剣の柄を握りなおして剣を引っくり返した、ギルベルトの体は一瞬重心を失い、ぐらつく。
そのすきを狙ってアルフレッドは体制を立て直し、一気にギルベルトに切りかかった。
だが、ギルベルトはナイフを使い簡単にアルフレッドの剣を弾いた。
アルフレッドの剣は宙を舞い、離れた崖の先に突き刺さった。
だが、アルフレッドは諦めた様子もなくギルベルトを鋭く今にも襲いかかって来そうな目で睨んだ。
ギルベルトは一瞬怖気ついて顔色を変えた。
だがそれ以上に見たこともないアルフレッドの変貌に騎士たちがざわめき初めていた。
「お前は誰と戦っているんだ?」
「え・・・何を言っているのか分からないな・・・。君と戦っているに・・・・」
決まって居るじゃないか。
そう答えようとしたときアルフレッドの中で何かが否定した。
違う俺は違う何かと戦っていた。
でも何と・・・・?
悪?
正義?
馬で王様が騎士の知らせを聞いてか、飛んできた。
顔を赤くしたり蒼くしたり慌ただしい。
「アルフレッド!何をしているんだ!あああ・・・腕を怪我して・・・!!医者を呼べ!!」
「・・・これはこれは王様ご機嫌麗しゅう。」
「何が麗しゅうだ!貴様がアルフレッドの腕に怪我をさせたのであろう!!」
「何を仰いますか、王様が私に命じたのではありませんか、他の騎士では相手にならぬと・・・。」
「むぐう・・・貴様・・・!!エ―デルシュタイン伯爵の任命でなければ首つりにしてあるものを・・・!!」
「おほめの御言葉ありがとう。それにしても良いのですか?大事な大事な御子息が痛がっていますよ。」
「!!!何をしている!早く医者を連れてこい!!」
この日結局俺は大会には出なかった。
父が出してくれないと言うのも大きな要因だが、ギルベルトが俺の代わりで出場したのも原因だったりする。
ギルベルトは皮肉屋で気に入らない相手には容赦がない。
そんなギルベルトを何処か尊敬している俺が居る。
俺は一国の王になる運命を背負っているんだ。まだこのままじゃだめだ。
もっと・・・もっと・・・。
カフェの中は冷房が強く風邪をひきそうな程冷えていた。
湾は飛び出したきりで戻ってくる気配がまるでない。
「行ってしまったな。・・・良かったのか?菊。」
「・・・また会ったときにでも謝っておきますよ・・・。」
「なあ・・・変なこと聞いても良いか?」
「変なことですか・・・?」
「いや・・・変なことと言ってもレポートの事なんだ。」
「ああ、人魚姫でしたね。」
「それでお前の言ってた自愛のことについて聞こうと思ってな。」
「・・・それの何が変な事なんですか?」
「・・・自愛っておかしくないか?自己愛だろ?」
「・・・確かにそうですね。」
「・・・俺は本当にお前の言う人魚姫が自己愛者(ナルシスト)だったのかが気になったんだ。」
「その真相は誰にも分からないでしょうね。現実に見ているわけではないのですから。」
「だよな・・わりい。忘れてくれ!」
「はい。」
きっとこのことは誰にも言わない方が良いのだろう。
菊はそっと胸の中にしまい込んだ。
「菊、何してるあるか。」
「え・・・耀さん・・?」
「耀さんある。お前何やってるあるか。」
「・・・コーヒーを・・・飲んでいます。」
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