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人間が嫌いな未成年。 たまに2次創作3次創作を打ちます。 完全オリジナルも打つ時もあります。 このブログを見た貴方と縁があること祈って・・・。
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ココは人魚たちが住むと言う海の楽園の奥深くの海底。
ここでは毎日毎日唄う人魚が居ると言う噂が立っていた。
だが、海底は暗く1㍍先も見えない暗黒の世界、若者たちが冗談交じりで何度も挑戦したがついには誰も声以外気付かなかった。
 
本当に誰も居ないのかと思うほど暗く深いその場所では今日もまた美しい声で歌い続ける人魚が居る。


 
プロローグ2
 
ああ。
 
誰か私を助けてください。
 
海の底は静粛と言うには余りにも孤独であまりにも暗く深い。
 
海の底で静かに唄う人魚はどこにも行かず独り哀しく唄っていた。
誰も来ない海の底で泳ぐことも助けを呼ぶことも出来ず、少しずつそして確実に衰弱していった。
 
唄うことを止めればもしかしたら生き延びられるかもしれない。
 
そんな淡い考えも今では嘘のように泡となり目の前を通って上へあがっていく。
 
「・・・alove・・・」
「誰か・・・居るのか?」
 
それはよく通る男の人の声だった。
相手はどうやら目が見えないらしい、目の前に居る私に気付かない。
私は手を伸ばして男の人のうろこに軽く触れた。
 
男性は少し驚いたように私の顔に手を伸ばした。
 
「居るのか・・・?」
「居ます・・・。」
 
すると男性は涙ぐみながら、嬉しそうに笑った。
 
「・・・触ったの・・・久しぶりだな・・・。」
「・・・あなたは・・・?」
「・・・俺は・・フランシス。見たとおり目の見えない人魚だ。」
「・・・私は・・・菊・・・泳げなくて・・捨てられたのです。」
 
静かにそう答えるとフランシスは少し哀しそうに笑った。
心の傷に触れたとでも思ったのだろう、菊の体を持ち上げて上へ上へあがっていった。
 
「ゲほ・・・が・・・。」
「おいおい大丈夫か?」
「・・・いきなり水圧が変わったから身体が驚いたようで・・・。」
「菊ちゃんはやせ細っているものな・・・。ロクに食ってないだろう。」
「・・・あの地で手に入る食料と言えば死肉程度ですからね・・・。」
「・・・そりゃ・・・駄目だろうな。」
「ははは・・。」
「んで俺の家に勝手に連れてっているんだが良かったか?」
「・・・感謝しています。」
 
静かにそう答えるとフランシスは納得したように笑った。
尤も目は閉ざされていて何を伝えようとしているのかは全く分からないが。
 
そして泳げない菊と目の見えないフランシスの生活が始まった。
 
 
 
 
「ねえ、菊さんあの人知っている人ですか?」
「え・・・?」
 
菊がそっと湾の言う方向に目を向けると見慣れた青年が立っていた。
くすんだ金髪に深緑の瞳、菊の友達で菊の英語の教師でもあったアーサー・カークランドだった。
 
「アーサー君。」
「よお菊。なんだお前眼鏡なんてかけていたのか?」
「いえ、最近目の疲労が酷くて・・・度は入っていませんよ。」
 
湾は少しむすっとして菊の袖を引っ張った。
英語で話しているので湾には少ししか分からなかったらしい。
 
「菊さんの友達ですか・・・?」
「ああ。そうか私英語で話していましたね。彼はアーサー・カークランド私の恩師ですよ。」
「恩師・・・?」
「彼が私に英語を教えてくれたんです。アーサー君彼女は湾ちゃんです。僕のガールフレンドですよ。」
「が・・・が・・・ガールフレンド・・・・!!!!」
「そうなのか、よろしくなWANちゃん。」
「う・・・ウイェルカム・・・・。」
「菊、彼女はなんて言っているんだ?」
「こちらこそと。」
「そうか、友達になれて良かった。」
 
それから湾を混ぜてアーサーと菊は他愛のない話を始めた。
 
聞くところによるとアーサーは大学院に通っているらしい。
日本語を菊にならっているが難しくてまだ覚えきっては居ないらしい。
 
菊は大学でアルバイトをしている。
たまに教授並の頭脳を発揮して教授が休みの時に臨時の先生として教える時もあるほどで、学生には割と人気が有った。
 
優しく大学の先生たちにも支持が有り、社会にでて行ってもいいと思うのになぜか大学を離れようとはしない。
理由を聞いても笑ってごまかされるだけで何も言わない。
 
「おっともうこんな時間か、教授からレポートの提出迫られているんだった。」
「おや、それは大変ですね。手伝いましょうか?」
「自分でしなくちゃいけないんだ。」
「そうですか・・・ちなみに何を?」
「人魚姫。」
 
菊とアーサーの間に何かが走った。
それは風でも人でも無く、大きな感情が流れていった。
 
一瞬のうちに体中に震えが来た。
アーサーも何かを感じ取ったのか汗を一滴流して菊をみつめた。
 
「・・・。」
「・・・。」
 
何だ今のは・・。
走馬灯が走り去った様な・・・。
 
背筋が凍るような感覚に襲われ、吐き気がおそう。
 
アーサーも一気に顔を青くした。
 
「どうしたんですか・・・!?」
「・・・。」
 
静かに湾に向けた顔は真っ青で湾はただ事ではないと、医務室に向かわせようと菊を説得した。
 
「いい・・・大丈夫ですから・・・」
「大丈夫じゃないですよ!!」
「いいって言ってるでしょう!!」
「!!」
「あ・・・。」
「ごめん・・・菊さん・・・。」
「・・・ち・・・」
 
違うから、大丈夫。
そう言おうとしたときには湾はすでにカフェから出ていっていた。
 

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