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人間が嫌いな未成年。 たまに2次創作3次創作を打ちます。 完全オリジナルも打つ時もあります。 このブログを見た貴方と縁があること祈って・・・。
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望もないものと

願いの聞きいられない

この関係

文明があまり栄え切っていない時代に彼らは生まれおちた。
くすんだ金髪に翡翠色の目をした印象的な眉毛の少年は名前をピーターといった。
一般的に言うなら彼は人よりもうんと幸せな美少年だろうだが、
彼のことを知っている人間からいわせれば彼は天涯孤独の身でありながら酷く不運な人間だった。
 
彼の親である母親はピーターの5回目の誕生日の日、過労死で死んだ。
裕福である筈の父親のもとで何故か過労死した母のことは誰もしらない。父はピーターとは血のつながりのない他人だった。
そして邪魔扱いのピーターは父方の祖母の家で暮らすことになった。
 
祖母の家では毎日裕福な生活をしていた、食事はいつもご馳走だし服は一度来たら二度と着ることが無かった。
全てがピーターの思ったとおりに進んでいった、だが、彼は酷い孤独感に蝕まれていた。
 
それは彼の性格上避けられない物でもあったし、それ以上に仕方のないことでもあったから自分で気持ちを抑えるしかない事をピーターは何となく悟っていた。
 
ピーターは店先に並べられたリンゴを一つくすねてそれをかじった。
店の人は困った顔をするが特にピーターに注意をしようとはしなかった、彼の祖母はこの街で有数のお金持ちからだ。
彼がこの街の中で物を盗もうが、物を無銭飲食をしたとしても誰も彼を怒ることは無い。
 
それがこの街の小さな決まりごとだった。
 
何時だったか店を始めたばかりの青年がピーターが一度ピーターを叱ったことがあるが、それから2日もしないうちに青年は店をたたみ街を出ていったことがある。
そのことについて祖母は何も言わないが祖母の仕業だということは何となくピーターは分かっていた。
祖母がピーターに注ぐ愛は異常だった。
それは周りから見ればただの孫好きのおばあちゃんに見えるかもしれないが、ピーターにとってそれは異常な物だった。
 
「ピーター!」
 
白髪にも近い金髪に蒼い目、ピーターと叫んだ少年はそのまま失速することなくピーターを引っ張って街中から外れた所まで連れてきた。
彼は牧師の息子だった。名前をティノといった。
 
「何それ?」
「ああ、これは紙って言うんだ最近東の方から伝わったんだってさ。お父さんが僕にくれたんだ。おっと。そんなこと言いに来たわけじゃないんだ!ピーター僕たちココを出る相談してたよね、もしかしたらそれが叶えられるかもしれないんだ!」
「どういうことですか?」
「僕たち人魚になるんだよ!お父さんが昨日その話しててね、ロ―デリヒって言う人が薬持ってるって!」
 
ピーターは人魚という言葉に違和感を覚えた。
人魚になっていいことがあるのだろうか?海の中に入ってどうやって生活するのだろうか、考えるだけ無駄な程自分の中で矛盾を繰り返していた。
 
「あ、人魚ってね海の中に居てそれでヒレが生えてて・・・」
「それは知ってるですよ。でも人魚になってどうするですか?大体海の中で空気が無いのに・・・。」
「人魚って素晴らしいと思わない?凄いよね。お父さんがあれは女の子だけが信じる空想なんて言うけど僕は人魚が居るって信じてるし、いなきゃお父さんが夜中にコッソリ話したりしないよ、大丈夫だよ、必ず居るから。」
「だから、居たとしてもどうやってなるんですか?」
 
ティノは笑って答えた。
 
「ねえピーター今から行こう。そんなに遠いわけじゃないんだ!僕とピーターで人魚になろう!」
 
ピーターは乗り気ではなかった。今の生活が気に行っているわけでは無かったからココを離れることは大賛成だが、人間以外になってまで自由がほしいとは思わなかった。
ティノは今の生活が好きではないのだろうか、確かにいつも出ていきたいと言っているがそんなに酷い生活を送っているのだろうか。
 
それから歩いて約30分後到着したのは一軒の教会だった。
大きな十字架はきれいで中は広いが参拝者は居ないようだった。
 
ティノは中に入ると十字を切ってお祈りを始めた。
敬虔な信者のティノと違ってピーターは神様という存在を認めていなかった。
もしも神様が居たなら母を死なせるようなことはしなかっただろうし、ましてや今の生活を強いることもしなかっただろう。そう、居るならもっと楽な生活になって居るだろうし信じる者だけや祈る者だけが助かり慈悲を貰うなんて酷い話ではないだろうか。
 
「神様なんていないですよ。」
「そうでしょうか?私は居ると思いますよ。ピーター君。」
 
後ろを振り向くとそこには牧師だろうか?いやそれにしても若すぎる青年が何か分厚い本を持ってピーターに微笑んだ。その笑顔には何か裏がありそうな感じがしたが、ティノは嬉しそうにその青年にあいさつした。
 
「こんにちは!ロ―デリヒさん!僕はティノと言います。ヴァイナマイネンの息子です!」
「知っています。ピーター君もよく来ましたね。」
「なんで僕の名前を知っているですか?」
 
その問いにロ―デリヒは答えなかった。
薄笑いを浮かべてこちらにどうぞとロ―デリヒは部屋に案内し始めた。その手ぶりをみる限りこちらのしたいことは伝わっているらしい。
 
「ねえ、ロ―デリヒさん僕たち人魚になりたいんだ。」
「もちろんですよ。私も丁度試してほしかったんです。・・・誰も人魚が居ることを信じようなどとしませんからね。」
「何か言いましたか?ロ―デリヒさん。」
「いや?それよりもピーター君は良いんですか?あんないいおばあさまが居るのに。」
「・・・それならティノにもいいお父さんが居るのですよ。」
「・・・そうですね。さあ着きました。」
 
何だろうこの人は何を考えているのだろうか、いや、何も考えていないのかもしれない。
そうならピータ―は今すぐにでも帰りたかった。多分ティノもそう言いだすと思っていた。その部屋の中では培養液に浸された人魚の死体が五万と並んでいたからだ。
 
「なんですか・・・これ・・・。」
「人魚です。人魚になる薬はこれから生み出されるんですよ。人魚から人間になるのもほとんど同じ作り方でつくられるんですよ。飲みます?」
「本当にこれで・・・これを飲んだら人魚になれるんですか・・・?」
「ええ、机上の上ではね。」
 
するとロ―デリヒは机の上に並べた資料をまとめてティノに見せた。その資料ではウサギが人魚の様になっていた。下半身が魚になっている。
 
「この子はね、今でも水槽で生きていますよ。みますか?」
「もちろん!」
「こっちです。」
 
気持ちの悪い人間だった。ロ―デリヒはいつも何かを企んでいるような目をしている。
ピーターは前に進むのが億劫になっていたがティノは生き生きして半分魚になってしまった、ウサギが見たくてたまらないらしい。
 
水槽に着いたときピーターは吐き気を覚えた。というより吐いた。
ウサギは息をしようと水槽から口を出して口をパクパク動かしている。それだけでは無い、まだウサギである身体は水によって腐り始めていた。
その異臭はまるで生きている死体だ。だが、ティノとロ―デリヒはさも嬉しそうにそれを眺めていた。
 
「すごいや!この写真は確か2年前のものなんでしょう?まだ生きているなんて!僕人魚化したものはもっと早く死ぬと思ってました!!」
「死にますよ。でも薬のお陰ですね。ココまで水による腐敗を遅らせることが出来ています。きちんと毎朝毎晩薬を飲めば確実に腐敗を止めることも可能ですになりました。ですが、やはりえら呼吸だけは上手く出来ないものです。」
「そりゃそうですよ元々肺呼吸のものを無理やり変えてしまっては死にますよ。」
「そうでもありませんよ、近々完成しそうです。」
 
一体何の話をしているのだろうか、ピーターは口を濯ごうと教会を出た。
海しか水はなさそうだが、口を濯げるならどこでも良かった。海の水を手に入れてうがいをすると気分が楽になって来た。
ココはすごく気分が悪くなる場所だった。何度吐いてもそれは変わりそうになかった。
 
「おい、お前大丈夫か?気持ち悪いんか?」
 
そこに声をかけてきたのは浅黒い肌に黒い髪をした青年だった。優しそうな顔でピーターを覗きこんで様子をうかがっている。
 
「うん・・・大丈夫ですよ。」
「本間に?でも海水でうがいはやめといた方がええで、こっちに井戸があるからそっちでもう一回洗い。な。」
「はーいですよ。」
 
そうやって笑うと青年は嬉しそうに井戸まで連れていってくれた。
 
「俺はアント―ニョいうねん。お前は?」
「僕はピーターですよ。」
「へえ、同じような名前っていっぱいおるもんやな~。家にはシルヴァーノっていうピーター位の坊主がおんで。一回あってみ。めっちゃやんちゃでな、今手付けられへんねん。」
「ふ~ん。」
 
井戸に着くまでアント―ニョとピーターは他愛のない話をしていた。途中シルヴァーノが出てきてアント―ニョに嫉妬したりしたが、無事井戸に着くことが出来た。
ピーターはそこで口を洗いなおして、教会に戻ることにした。
 
「僕は教会に戻るですよ!」
「そっか、せっかく仲良うなったのに残念やな~。あ、そうや海にはもう近づいたらあんかよ。人魚が出るからな。」
 
真剣な顔でいうアント―ニョがいうことに嘘は無いのだろう。
分かったと一言いった後教会に向かうとそこでは丁度ティノとロ―デリヒが話しあっていた。
 
「お願いします!僕を実験台にしてくれて構いませんから、人魚にしてください!」
「・・・あなたの狙いはお金でしょう?私のこの研究を完成させれば何処からともなく巨額の富を手にするとでも思っているのでしょう??」
「・・・お願いします!・・・もうこの世界は嫌なんです!こんな薄汚れた世界なんか捨てたいんです!!」
「・・・」
「世の中は腐ってる・・・!!神様なんていないんだ!!僕が助けてと望んだ時に助けてくれなかった、だからこんな世界は捨ててやるんです!」
「そんなにお金がほしいのですか?ここまでして?」
「・・・欲しいにきまっているでしょう?・・・貴方なら理由が分かる筈だ。」
「ええ、まあ。」
 
中でどんな話をしているのか全く聞こえないのですこし近づこうと前に出ると、脚を滑らせて頭から転んでしまった。
その姿にティノは顔を真っ青にしている。
一方ロ―デリヒは嬉しそうに笑みを浮かべ手にもっていた薬を無理やりピーターの口に突っ込んだ。
勢いのあった薬を飲みこんでしまったピーターは身震いを覚える。
 
「ピーター!」
「し、今からがショータイムですよ。」
 
「は・・・・はあ・・・は・・・・!!」
 
自分もあのウサギのようになってしまうのだろうか、水の所為で体が腐り。
腐臭を発するようになるのだろうか。
 
脚に強烈な意味が走る。
息をするのが苦しくなる。肺に痛みを感じ、何かが体の中をはえずり回っているようだ。
 
吐血を繰り返し、脚の痛みが引いたと思った瞬間体のコントロールが出来なくなった。
意識は半分飛んでしまい、口を聴くことすらできない。
 
「これで後は海に捨てれば人魚の出来上がりです。」
「でもヒレがありませんよ。」
「人間の場合。水に耐えるれる様にするだけで大きく変わってきます。体の負担を考えるとこれが精一杯ですね。・・・でも正直驚きました。ほとんど不老不死にしたようなものなので死ぬと思ってたんですけどね・・・。」
「・・・不老不死・・・?ピーターは成長しないんですか?」
「しませんよ。一生このままです。えら呼吸は出来るので安心してください。ピーター君。」
「捨てるんですか・・・?」
「まさか彼は見せつけですよ。」
 
 
“これからの新世界の為にね。”

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