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人間が嫌いな未成年。 たまに2次創作3次創作を打ちます。 完全オリジナルも打つ時もあります。 このブログを見た貴方と縁があること祈って・・・。
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手にしたものは薄く

失ったものは多く

手の栄光とは過去のこと

水の泡と消えるのは自身のプライドか・・・彼自身なのか



「シル・・・早くしないと気付かれちゃうよ、それでなくても特攻でもかけられたら僕たち命は無いんだから。」
「・・・姫様が高熱を出しているんだ、動かせると思うか?」
「だったらあんたは姫様の命と風邪の心配どっちするの?」
「・・・。」

外には隣国から来た兵士たちがこちらの様子を伺っているようだった。
何か怪しい動きを見せればその時点で射殺されるのが落ちだろう。

幸い今は地下室と続く道を進んでいるのでこちらの様子は分からない筈だ、だが何時間も反応がないと兵士は手加減なしで襲ってくるに違いない。
その前に出来るだけ離れなければ命は無い。

「入って。」

マルコが案内したのはカーテンで仕切られた地下室だった。
壁一面並べられている本棚の中には薬の瓶が所せましと並べられていた。
中には一つの机といすが並べられている、そこに中年男性が一人こちらを睨んでいた。
中背中肉といった感じの男性は騎士の腕で熱を出している王女に近づき脈を測りだした。

男性が深くため息を吐きマルコを睨み平手打ちを一発マルコの顔にあてる。
マルコは何だよ!と景気よく叫んでいるが目からは涙を流して悔しそうに顔を歪ませていた。

「あんたその子をここに寝かせな。」
「・・・何者だ?」

深くかぶった帽子を軽く上げて騎士の顔をジロリと見舐める。
頬に大きく出来たニキビを軽く擦って微笑を浮かべた。

「安心しな、俺は免許こそ持っていないがそこのガキよりはよっぽど知識を持っている、戦場では衛生兵だったからな。」

衛生兵・・・騎士は厄介に掛からなかったが仲間たちはそこで何人も身取られてた。
前線で戦う騎士よりも血にまみれ、手には腕を切り落とすためののこぎりを握り何人もが死んだ顔をしていた。
そのうちの一人だと騎士は思った。

「・・・昨年の戦争でか・・・すまなかったな・・・。」

最初は騎士たちだけでけりがつけられていた筈の戦争だった、それが大きくなっていき民衆を巻き込んだ長引きこそしなかったが多くの命を失った戦争だ。

「英雄が何言ってんだか…マルコ水持ってこい。」

はーいとマルコは入ってきた所とはまた違うところから出て行った。
多分近くに井戸か何か有るのだろう、マルコが歩いた後はぽちゃんと水の音がした。
男性は手際良く自愛姫の汗を拭いていく、その様を見て騎士は思った戦争さえなかったらこの人は医者として生きてきたのかもしれない・・・そう思うと申し訳なくなってくる。

「・・・私は生き残っただけの臆病者だ・・・仲間たちと逝けなかった・・・。」

その言葉に少し機嫌を損ねた男性が皮肉をぶつけようと目を細めた。
微かに見える帽子の下からは憎しみが感じ取れた。

「へ・・・そんな臆病者が良くこんなガキを助けたな・・・クリス王女だろ?」

自愛姫の手当てを止めて騎士の方向を男性は向いた。
騎士は吃驚して息をのんだ。

「知って居たのか?」

だがそれ以上に驚いたのは男性の方だった。
騎士はしまったと後悔したがここで戦うことになっても騎士が勝つだろうと、顔を緩めた。

「・・・・・・・・驚いたね、生きているとは聞いたが・・・この目で見ることになるなんてな・・」
「マルコのお陰だ・・・私一人では死なせていた。」

丁度帰って来たマルコに騎士がマルコをみて礼を言うとマルコは少し照れくさそうに笑った。
嬉しいのかどうだおっさんと勢いよく男性に声をかけるが、男性はさっさと薬を持ってこいと一括するだけだった。
少し不機嫌そうに薬の瓶を取るマルコ、こうして見るとマルコも年相応の顔が出来るるのだなと騎士は男性を感心した。
孤児院の時のマルコは少しでも兄弟たちに食べさせようと極力食べない様にしていた。
朝早くから起きてウサギを取りに行ったり、少しでも食事の為にと必死に働いていた。

騎士にたまに文句をぶつけたり、変なところで頑固だったり子供っぽいところもあるなと思っていた、
だけどやっぱりそれは騎士の前だけで他の兄弟たちの前では文句一つ言わず体に鞭をうって働いてた。

「・・・マルコ外の様子はどうだった?」
「見ては無いけどそろそろヤバいと思うよ・・・さっきから火薬のにおいがするしね。」

何発か撃ったんじゃない?とマルコが薄く笑いながらそう言う。
男性はここもそろそろ危ないなと帽子の上から頭をかいた騎士は椅子から立ち上がり自愛姫を担ぐ。
それにマルコは驚き無茶しないでよと騎士に注意するが騎士はそんなことは言ってられないとマルコが出てきたカーテンを捲って道が有るか確認した。

「行く気?」
「ここに居ればお前たちも巻き込む形になる。」
「あんた何言ってるか分かってるの!?あんた道を知ってるの!?あんたが怪我しているの僕知ってんだからね!
勝手なことバッカリ言わないでよ!!僕だってエヴラールみたいに医者のはしくれだ行かせないよ!」
「どうせ、あそこで尽きる命だったんだ今更死んだって姫様も許してくれるさ・・・」
「駄目だ!駄目に決まってるだろう!僕は行かせない!!」
「マルコいい加減にしな、お前にこの人の覚悟が分かるのか?命を護るために俺たちはいるんだ、非情な言い方かもしれねえーが・・・この人が居たらこの街は無くなるんだ。
お前にそれだけの価値があんのか?」

エヴァラールが冷たくそう言い放つ、彼の言うことは尤もだ騎士や自愛姫が居るだけでどんなケチを付けられ、この孤児院はかくまったと言われ酷い目にあわされるだろう・・・。
元々この国は肥大な土地では無い、それ以上にこれといった名産品もない。
こんな小さな町つぶそうと隣国の勝手なのだ、どうなるか分かったものじゃない。

マルコはそれでも納得いかないとエヴァラールを激励した。

「価値なんて知ったことか!人一人救えなくて医者なんてやってられないよ!確かに僕はまだ医師として未熟だ、それに薬をくれてやる金も持っちゃいない!でも・・・それでも・・・僕は一度受け持った患者を殺す様な真似はしたくない!!!!!!!!」
「マルコ・・・それはこの街を見捨てると言うことだ、私と姫様が居なくなれば後でいくらでも活気あふれる街に復興出来るんだ・・・頼むからバカな考えは起こさないでくれ・・・」
「でも・・・・・・!!でもぅ・・・・・・!!!!!」

マルコは大粒の涙で頬を濡らした。
それは拭いきれるものでは無くなって居た。
騎士自身も気づいてたのだ、マルコが普段どれだけ我慢し必死だったかを騎士がここで残ると言えばマルコは落ち着いてまた笑って皮肉を言う元のマルコに戻るのだろう、だけどそれは街一つの代償が伴う。
マルコの為にもそれ以上関わりを持つことは決していいことは無い。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・、もう行く。」
「ああ、・・・。」
「シルヴァーノ・・・嫌だ・・・そんなの酷いや・・・だって・・・」

出ていくということはそれは死を意味している、上手く突破出来たとしても騎士か自愛姫かどっちかが死ぬだろう。

「その先は言うな、マルコ・・・・・旦那お気を付けて。」
「・・・・・・・。」

カーテンを開けて外に出る。
湿った土が故郷の土を思い出させたが感傷に浸っている場合ではない、騎士は自愛姫をしっかりと抱え真っ直ぐ続く道を進んでいった。

”ここだ行くぞ!・・・5・・・”

兵士たちの声がかすかに響いてくる。近くまで来ているのだろう。
マルコは胸元に隠してあった銃を取り出し何時でも打てるように狙いを定める。
狙いは隣国の兵士たちだ。

「エヴァラール・・・僕たちも行くよこれからが仕事の始まりだ。」
「はいよマルコ坊ちゃん。」

”・・・4・・・”
「この戦いが終わったら僕は隣国に行くよ、そこで仕事をするんだ。」
「医者か?」

”・・・・3・・・・”
「いいや、暗殺者だよ。」
「救う仕事から殺す仕事かよ、反吐が出るぜ。」

”・・・・・2・・・・”
「変わらないよ・・・殺すのも生かすのも。」

”・・・・・1・・・・”
「・・・ちげいねえ。まあそれでも俺たちは生かした相手を護る必要があるからな。」

”go!!!!”
「そういうこと。」

 

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