忍者ブログ
人間が嫌いな未成年。 たまに2次創作3次創作を打ちます。 完全オリジナルも打つ時もあります。 このブログを見た貴方と縁があること祈って・・・。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


間違い探しを始めた

全部あってる様にも見えるパズルにある筈の間違いを探す

どれが有ってどれが間違っている?

全部あって居るかもしれないのに?

事実を知るのは近く

真実を知るのは遠く


また朝が来た。
今日も朝早くからローザは麦畑に入って収穫を今かと今かと楽しみに待っていた。
騎士はと言うと姫様が死んでから一週間が過ぎてもローザの優しさに甘えられずにはいられずに
家に居てローザの手伝いをしていた。

姫様の遺体は焼いた後骨を海に流した、城から何時も姫様は海を眺めていたからだ。

あれからもう二週間近くになる。
自分は何をすればいいのか分からなくなっていた。
バイルシュミットに状況を書いて送ろうとペンを握ってみたが思ったとおりに文字は進まない。
自分の使命は終わってしまってこうやってローザの手伝いをしているが、自分の無力さに心が痛んだ。

故郷にでも帰ってみようかとも考えたが、それに似遭う金も気力もなく
ローザは畑を手伝ってほしいと言われたぐらいで、特に何も言ってこなかった。

それが騎士にとって救いでもあり焦りでもあった。

黙って居るローザに苛立ちを覚え一度喧嘩を吹っ掛けたことが有ったが、笑って流されるだけだった。

「シル、お昼にしません?」
「ああ。」

二週間でローザとの関係も大きく変わった。
今は自然と敬語を止めて普通に話している。

「頂きます。」
「どうですか?おいしいですか?」

ローザのその言葉に急いで近くにあるスープを一口味を確かめるように飲み込んだ。
その様子を見てローザがクスっと笑う。

「おいしい。」

一言そういえばローザは満足したように食事を始めた。
何時までこんな生活をしてて良いのだろうか・・。
もしかしたら騎士はもうこのまま幸せに暮らして良いのかもしれない。

姫様を忘れるわけではないが、縛られていた鎖から解放された様な感覚に有ったのも本当だった。

それで良いのか・・・。
それが自分にとって本当に望んでいたものなのかは分からない。
だが、枷を付けられた囚人は自由を求めているように騎士も自由を望んでいたのかもしれない。

だが、そんな気分もすぐに終わってしまった。

ドアのドックが忙しく鳴り響きローザは持っていたパンを置き返事をしながらドアに向かう。
騎士はそれを近くにある窓からその光景を眺めていた。

見慣れた軍服は騎士の国のものだった。
くすんだ金髪の青年がローザと話をしている、何処かで見た顔だと騎士はまじまじと青年を見るが、記憶とは一致しない。
見間違えか、他人の空似だったのだろうかローザとの会話はだんだん喧嘩腰になっているようで
ここまで声が聞こえてきた。

「だから、俺はエンゲルベルト・バイルシュミットだって言ってるだろう!早くリーンを出せよな!!」
「そのような方はこのような小さな家には来ておりませんわ。」
「お前もしかしてバイルシュミット家を知らないわけじゃないだろうな!この田舎娘!!」
「私にそのような口を聴いてよろしいとお思いで?後で後悔しますよ。」
「は!!どの口がほざくんだよ!!良いからリーンを呼べって言ってるだろう!!俺は気が長くないんだ!」
「お断りします。」
「あのな!あんま言いたくなかったけどリーンがヤベーンだよ!!」
「何をいって・・・」
「エン。何をしてるんだ?」

これ以上騒がれると厄介になるので騎士は玄関でけんか腰に立っていたリーンに声をかけた。

エンは嬉しそうに歳相当の笑顔を振りまいた後、後ろで待機していた兵士たちに街の宿屋で待機するように告げた。
16歳とは思えぬほどしっかり隊長として貴族として一人の男として成長していた。

エンを部屋の中にローザは招き一緒に食事をしようと提案した。

「リーン!大丈夫だったか!?俺心配で眠れなかったんだからな!」
「どうやってここを知ったんだ?」
「俺の情報網を舐めるなよ、自愛を焼いただろう?」
「ああ・・・。」
「あれでピンと来たんだよ、それで調べてやったら出るわ出るわ。」
「それでここまで来たんだな。」

まあなと得意げにリーンは笑った。
ローザは一人不機嫌な顔で食事をしていたので、エンを紹介することにした。

「名前はさっき言ったがエンゲルベルト・バイルシュミットだ、今は小さな隊の隊長代理をしてる。
前の隊長が療養中だから補佐の俺が今の立場に居るんだ。
歳は16、一応これでも名門バイルシュミット家の領主なんだ、敬えよ。
リーンとは剣の師弟関係ってところかな。」
「ずい分お若いのね。それでよく隊が纏められるのですね。」

ローザは皮肉をエンにぶつけるが、エンはスープが気に入ったようでおかわりと皿をローザに渡した。
それを渋々ローザは受け取る。

「苦労したぜ?何せ人より若いは、名門だは、よくいちゃもん付けられてるよ。」
「爺さんはどうした・・・?」
「死んだよ、心臓病だとさ。」
「・・・そうか。」

もしかしたら助けてもらえるかもしれないと思ったが、死んでしまっては意味が無い。

「そんなにがっかりスんなって俺が来たからには安全だぜ。」
「・・・そうか。」
「なんだよ!俺じゃ力不足ってか!?
・・・自愛が死ぬ前に俺に手紙をよこしてたのお前知ってるか?」
「いや・・。」
「興味は無いか?」

エンは胸ポケットから皺くちゃになった手紙を取り出した。
騎士はそれを受け取った、汚い文字ではあるが確かにこれは自愛姫の文字であった。
あいている封から紙を取り出した。

書きなぐった様な字を一つ一つ丁寧に読んでいく、ゆっくりゆっくりスープが冷めて冷たくなってしまったが、そんなこと気にもせず何時間もかけて一言一句脳裏に刻み込んでいく。

手紙の内容は隣国との停戦状態を条約を結び戦いを終わらせ、貿易などをもっと大きくしたいと事と。
この国を建て直そうと言うものだった。
そしてわずか10歳にしてこれほどの内容の濃い手紙をエンに送り着々と仲間を集めようとしていたのだ。
騎士の記憶が正しければ5通はこれを送っている。
国民の事を考え、国を案じた結果がこれだったのだ。

Ich bete für Glück
健闘を祈る
Zu liebem Eugelbert
親愛なるエンゲルベルト様

最後を読み終えたときあの感覚を思い出した。

”ねえ・・・戦争大きくなっているの?”

自愛姫だとバカにされていた姫様は何時も部屋に閉じこもって勉強ばかりしていた。
そんな中手紙を何通か書いていたことも知っている、だが、あの事件の当日まで騎士は気付かなかった。
姫様自身が追い込まれボロボロになって居ることに。

”私はどうすればいいの__________?”

助けを求めた姫様と同時に国に対する思いやりを知ったとき。
騎士は自身が震えていることに気がついた。

それは恐怖ではなく好奇心でも無く
心の底からの喜びだった。

忠誠を誓い、初めて嬉しいと感じた瞬間でもあった。

”私が姫様の生きた生涯を語らなければいけない、そうすれば姫様も安心するかもしれない。
だとしたら私のすることは一つしかない筈だ・・・!”

「エン、お前これを届ける為だけにここに来たのか?」

顔は伏せたまま騎士はエンに尋ねた。
エンはまさか、と返事を返し今度はズボンのポケットから手紙を取り出した。

「国から申請が来てる、あんたと自愛を見つけ次第連行しろってさ、まあそれよりも自愛とこが潰れて王宮はガタガタで貴族はパニック状態なんで俺みたいな若造が来たんだ、感謝しろよ?
それと隣国やばいってなんか言ったらつけ込もうつけ込もうって・・・ウザいんだよな。」
「そんなに酷いのか・・・。」
「酷いってもんじゃないな最悪だ。やけにイラついてるし、とばっちりを喰らうのは俺だし。ほんと感謝しろよ?」
「感謝してる、ありがとう・・・。」
「まあ・・・そういうなら良いけど。それよりリーンはこれからどうするんだ?」
「私は姫様の意見を実現させたい・・・!」

その言葉を待っていたと言わんばかりにエンは立ちあがり騎士の残していた冷めたスープを飲みほした。

「よし、じゃあ行こう。」
「は?」
「用意はできてんだ、多分そういうと思ってた。」
「何だって?」
「感謝しろよ、これから隣国に乗り込んでやるんだからな。」

「え?」

これはローザだ。
信じられないと顔を赤くしていた。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カウンター
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
最新CM
[03/12 猫]
[03/12 雅]
[10/29 猫]
[10/29 雅]
[02/11 凪]
俺得
プロフィール
HN:
性別:
女性
職業:
さあ?
趣味:
音楽を聴くこと?
ブログ内検索
バーコード
カウンター
忍者ブログ [PR]