人間が嫌いな未成年。
たまに2次創作3次創作を打ちます。
完全オリジナルも打つ時もあります。
このブログを見た貴方と縁があること祈って・・・。
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独りのこされた世界は狭くて、暗くて息苦しくて。
叫んでもあがいても浮きもしない海の底で唄っていた。
まだ年端もいかない娘だった。
ああ、今宵も独り唄うのだろう。
彼女の名前を菊といった。
人魚姫 inヘタリア 本編2 全てが始まるとき
「自愛姫・・・?」
結局フランシスが帰って来たのは夕食前だった。
移動手段が無い菊は一人テーブルに置いてあった写真を見ながらかんがえていたのだが、
何故あそこまで、彼はフランシスに執拗な程に愛着を示していたのだろうか。
恋愛感情はなしとしても、異常な程の執着に固執。
彼は一体何を考えているのだろうか。
「はい、さっき訪ねてきた男性がそうおっしゃってました。・・・名前は伺わなかったんですけど・・・。」
綺麗な人だった。
目の奥が笑ってないような冷たい視線と冷酷な話し方。
冷血とはああいう人の事を言うのだと思う。
「ああ、・・・大丈夫俺の知り合いなんだよ。フェリシアーノって言ってここの国の王子様。まあ一部では自愛姫って呼ばれてるらしいけどね。」
フランシスはこの話をあまりしたくないようだ。
それをわざわざ根ほり葉ほり聞いたところで関係が悪くなるだけ、それなら今までの関係のままで居たいし、フランシスもそれを望んでいるのだろう。
「・・・そうなんですか。」
「自愛のこと知ってた?」
「いいえ、風のうわさでちらっとは聞いたことが有るくらいで。」
「フーン。なあ、来週あたりに外に出ないか?」
「え・・・・?」
いきなりそんなことを言われて驚いた。
今まで外に連れ出して貰ったことなど記憶にないからからだ。
理由ははっきりしていた、フランシスの暮らしは決して裕福なものではなく食べれない日もあるほど貧乏だからである。
むしろ貧困と言ってしまっていい程食べるのに苦労していた。
「出たくなかったか?」
「いいえ・・・少し驚いてしまっただけです。」
フランシスは心配しなくても良いとわらった。
菊はその笑顔が不安で怖くて仕方なかった。
優しい人ほど手を引っくり返して私を責め立てるのだから。
「ルートヴィッヒ!!居ないのか!」
城内は今までにない程に騒がしかった。
召使いたちは慌てて部屋を引っくり返し、女帝は眉間にしわを寄せて苛立っていた。
それを見ながらアーサーは細く笑い翡翠色の目を濁した。
「エリザベータどうした?そんなに目をとがらせて。」
「・・・一体何が有ったの?」
左手にフライパンを握り締めたままエリザベータはアーサーを睨んでいた。
その威圧感に周りの雰囲気は一気に凍りつき、やり場のない身体を目を2人に向けていた。
「ルートヴィッヒが逃げ出した。」
「・・・・!!」
「今召使い兵士総出で奴を追っているところだ。」
エリザベータは玉座の近くに残って居た召使いたちを一喝した。
ざわざわと召使いたちは外に出ていき、玉座に残されたのは2人だけになった。
「あなたはまだ幼いのだから、いい加減にルートヴィッヒ一人ぐらいで大騒ぎするのはやめないさい。」
ルートヴィッヒはアーサーのお気に入りで、四六時中一緒に居る。
その姿は兄弟の様だとか恋人の様だとかさまざまだが、誰しも仲が良いと評価している。
だが、実際は仲睦まじい所か、アーサーが束縛しているに近かった。
「ああ、俺はまだ14だ。だがな、俺は一国の王だ。国を変えるためにも自愛が死んでくれるのを気長に待つさ。」
エリザベータはエ―デルシュタイン卿の娘であったが、昔エ―デルシュタイン家との対立の時によってできた条約として連れてこられた娘だ。
エリザベータ自身は条約を護るためだけに居る存在なので実際の経済や政治などはすべてアーサーが牛耳って居た。
「何故!?戦争を持ちかければいいじゃない、自愛なんて今や死んでいるのも同然よ!?」
その言葉にアーサーは不気味な笑いを見せた。
エリザベータの血の気がさっと引いた。
「だからこそだよ。名誉ある死をさせてやるためにはまず復活してもらわなければならないんだよ。」
14歳とは思えぬ言葉にエリザベータは声をもらした。
「・・・やることが残酷ね・・・。」
「どっちが・・・?」
「何を言っているの?」
「エ―デルシュタインの研究している薬とやら飲んでみたいものだな。なあエリザベータ。」
「何のことかしら?」
「俺も探しに行こうかな?」
だが、アーサーは相変わらず不敵に笑みをこぼしているだけだ。
エリザベータはさっきから反応してしまう眉を落ち着かせようと気が気でなかった。
「フェリシアーノどうしたあるか?」
「・・・さあ。」
「・・・知っている顔有るな。」
「!!」
「ほら、今顔に出したある。」
「・・・あなたには敵いませんね。」
「もちろんある。それにしても今日は色んな奴と会う有るな、流石に疲れたある。」
「・・・そうですね・・・。」
話してしまえばどんなに楽なんだろう。
菊はそう思いながら耀と別れて電車に乗って居た。
すると声をかけられ身体が軽く反応した。
そこに座って居たのはイヴァンだった。
「イヴァンさん!?確かロシアに帰ったって聞いてましたけど!?」
「昨日帰って来たんだ~、まだ日本語が上手く話せないからね。」
と言いながら流暢な日本語を話すイヴァンを見てもう十分ではないかと思ってしまった。
が、本人はまだ勉強を続けるつもりらしい。
「さっきアーサー君とも有ったんだよ。」
「大学院に行かれたんですか?」
「うん。彼変わってなかったよ。僕が挨拶したら青い顔で逃げ出したしね。」
「はは・・・。」
「明日あたり耀君家にも寄るつもりなんだ。仕事の依頼でこっちに戻って来たのもあるからね。」
電車が菊の降りる駅に到着した。
それに気が付き慌てて菊は飛び出した。
だが、さっき分かれを告げた筈のイヴァンは同じ駅で降りていた。
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