忍者ブログ
人間が嫌いな未成年。 たまに2次創作3次創作を打ちます。 完全オリジナルも打つ時もあります。 このブログを見た貴方と縁があること祈って・・・。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


そう気分次第で変わる物語が私の持ち味なら

気分次第で終わるのも悪くない。


「お前は魔法使いだったと言っていたな。」

騎士は老婆の部屋の片隅に置いてある人魚に持たせた薬に目をやった。
老婆水晶の中に居る人魚を見て微笑を浮かべていた。

汚い部屋だとため息をつきたくなる。
元々几帳面な騎士がここに居る事態、他の者が見たら驚きのあまり叫ぶだろう。

「呪い師(まじないし)じゃて」
「・・・どちらでも良い、姫様は帰って来れるのだろうな」
「そんなに心配ならお主が行けばよいじゃろうて」

ずっとこの調子だ。
騎士は眉間にしわを寄せた、老婆は水晶から目を離そうとせずに騎士に怪しげなビンを渡した。

人間になる薬だ。

「人魚は楽しそうじゃぞ?今日も人間の王子と歩く練習をしておるわい。」
「・・・人間の王子とか・・・?」
「焼けるか?」
「・・・。」

騎士は老婆を睨みつけたが、老婆は薄気味悪い声出して笑うだけだった。

騎士は液体の入ったビンを振ってみた。
びちゃびちゃと液体の音はするのに液体自体が揺れている感覚は無い。
そっと老婆に近づいて水晶に目をやる。

「大丈夫ですか?人魚姫」

王子は人魚の脚を支えながら人魚に笑いかける。
それにこたえるように人魚は頬を染めながら笑った。

王子は近くにあったイスを人魚の近くに置いて人魚を座らせた。
人魚は黙ってそれに座った。
王子は人魚の手の甲にキスを落とした。

「・・・貴女は私のことをどう思っていますか?」

人魚は王子の額にキスを落とした。
王子の顔が少し赤くなっていくのが分かる。

人魚は文字を覚えなければいけないなと考えた。
こうやって身振り手振りでも伝わるものには限度がある。
さすがにこういう質問には手振り身振りでは伝わらないものがあるだろう。

「王子様こんなところでまたこの娘と遊んでいるのですか?」

皮肉を込めた言い方に王子は顔を渋らせた。
執事は静かに王子に手紙を手渡した。

「また来てますよ隣国の自愛姫から。」
「・・・。」

王子は手紙の差出人を確認した後それを机の上に置いた。
人魚の王子と似たようなことをするのだなと人魚は机に置いてある手紙に視線を泳がせた。

王子は人魚を車椅子に連れて行き、自分は行くところが有ると部屋から出て行ってしまった。

一人は暇だと人魚の時に部屋に入れた騎士が懐かしい。
車椅子は残念ながら人魚には動かせない仕組みになって居た。

あの時の尋問がまだ終わって居ないこともあって、人魚に外出の許しは出ていなかった。
それでもなくても歩けないのであまり意味は無いのだが、ここ三週間近くこの部屋から出ることは無かった。

部屋にノックもせずに誰かが入ってきたのを感じる。
首を動かして存在を確認する。

それは執事だった。
車椅子に乗っている人魚をベットに運ぶのは慣れた手つきだ。

人魚を仰向けに寝かせると自分もその上に乗ってくる。

「また王子があの自愛姫のところに行くようですよ、最近結婚を責められていると言いますよ?貴方は捨てられるのでしょうね。」

何を言っているのだろうこの執事は。
結婚?祝い事に私が物言いでもすると?

「何時でもそうやって貴方は余裕のある顔をしているのですね?」

人魚の上半身を持ち上げて手慣れた手つきで服を脱がしていく。
それに何も反応せずに人魚は執事の首に手をやった。

「またそうやって私を脅しているのですか?」

執事は強引に人魚の手を掴んでベットに叩きつけた。
人魚は痛みに顔を引き攣らせる。

「キズ。残してほしくないでしょう?」

執事の醜い笑みに背中に汗が走るのが分かった。
人魚は静かに抵抗を止めて天井に見える天使に目をやった。


「騎士よ人魚の寿命はあとわずかじゃ」

老婆の言葉に言葉を返す者はだれも居なかった。

「もう行ったか・・・。」

老婆は近くに置いている瓶に入っている液体を自ら飲み干した。
体中にめぐっていくのは大量の睡眠薬だった。

眠気を覚えてベットに身体を任せた。



「・・・姫・・・。」

何故こんなことになったのだろう。
動けない身体はあの時彼女を助けるために陸に上がったツケだ。

あの日すぐに騎士を呼び出してみたが分かったのは人魚が人間になって人間の王子を助けようとしている。
それだけだった。

人魚の意思も分からないまま陸に上げてしまった。

自分は動けない身体と周りに居る医者達の所為で外の様子も分からない。

訪ねてきたと言えば本物人魚姫だと思われる自愛姫だけだった。
鏡の精にでもなったと聞いていたがボロボロに傷ついたうろこは昔、噂された輝かんばかりの美しさとは遠く離れたものだった。

話は私を正式な妻として向かい入れろとのことだった。
もちろん断ったが、
目の見えない人魚がまだ近くで歌っているところをみると近くに居るのだと分かった。

王子は自分の細い腕を握り騎士を解任したことを後悔していた。

”お前は彼女の所に行くのだろうな・・・。”



「かは・・・はあ・・・・は・・・・!!」

騎士は重いからだを陸に上げた。
全身に痛みが走るがこのままでは死んでしまう。

「く・・・。」

やっとの思いで身体を陸に上げると、騎士は眠りこけてしまった。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カウンター
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
最新CM
[03/12 猫]
[03/12 雅]
[10/29 猫]
[10/29 雅]
[02/11 凪]
俺得
プロフィール
HN:
性別:
女性
職業:
さあ?
趣味:
音楽を聴くこと?
ブログ内検索
バーコード
カウンター
忍者ブログ [PR]