それを求めて何年？

それを信じて何年？

それを頼って何年？

それを忘れるのは

絶望？

希望？

それすら分からないんだ

昔有るところに人形がいました。

その人形はとてもきれいで人々を魅了していました。

ですが、誰かを求めて

徘徊する人形を神様は許しませんでした。

何度も何度も

例え自ら手足を千切っても

許してくれませんでした

神様は人形を愛していました。

とてもとても愛していました。

だけど人形を許しませんでした

布がボロボロになって人形に見えなくなっても

神様は人形を愛していました。

ですが

人形は神様を愛していませんでした

神様を呪っていました

どうして許してくれないの

歩きまわる人形がいたらみんな気味を悪がって何処かに隠れてしまうだろ

どうして人間にしてくれなかったの

布で出来た人間なんていないだろ

どうして人を求めてはいけないの

それはお前が汚くなったら捨てるのは人間だからだよ


神様は誰よりも人形を愛していました。


友達の人形は人間に大事にされているのに
人形は何時も神様の近くに居ました。

人形は自分は決して許されないかもしれないと
思い始めました。

神様は何も言いませんでした

人形はただ許される事を望んでいました

ある日友達の人形が主人を連れて神様のもとにやって来ました。

人形はそれをただ羨みました

主人は言いました

素晴らしい人形だ、それを私に譲って頂けませんか

神様は言いました

貴方は素晴らしい人形をお持ちではありませんか

主人は言いました

では私のこの人形と神様の人形を取り換えっこしましょう

神様は嫌がりましたが、主人どうしてもと言うので取り換えっこすることにしました。

人形は念願の人をみてとても喜びました。

この人なら私を許してくれる。

この人なら私を許してくれる。

この人なら私を許してくれる。

この人なら私を許してくれる。

この人なら私を許してくれる。

この人なら私を許してくれる。

主人は人形を手に取ると、それをごみのように床に捨てしまいました。

昔のような美しい人形ではなくなっていたからです。

人形はとても悲しみました。

貴方なら許してくれると思ったのに

床に捨てられてしばらくすると

主人がほかの人形を持って帰ってきました

人形よりもずっと綺麗で、美しい人形でした。

人形はまた他の主人に手渡されました。

その主人はとても信仰深い男でした。

人形をまるで神様のように奉りました。

ですが人形を許してはくれませんでした。

許して

許して

許して

許して

男は哀しげな人形をみて、自分の行いが悪いのかと思っていました。

ですが、どんなに良いことをしても人形の顔が晴れることは有りませんでした。

そして取り換えっこした人形を恋しく思い始めました。

あの人形はあんなにも美しかったのに

そう人形を比べては人形を悲しませていました。

ある日老いぼれた老人が人形を譲ってほしいとやって来ました。

男は前の人形が恋しかったので人形を譲ってやりました。

老人はとても貧乏で食べていくのにもやっとでした。

人形の部屋もとても部屋と呼べるものでは有りませんでしたが、

老人は千切れた人形の手足を直してくれました。

ボロボロの布を取り替えて美しい人形に戻っていきました。

ですが、その人形は元の人形では有りませんでした。

老人の昔大事にしていた人形になっていました。

それでも老人は大事にしていた人形に近づけようと人形を変えていきました。

全てが変わってしまった次の日老人は逝ってしまいました。

人形は一人ぼっちになってしまいました。

何年もの時が過ぎて行きました

誰が私を許してくれるの？

埃っぽい部屋では人形以外だれも居なくなっていました。

次に目を開けた時人形は元の美しい人形になっていました。

夢かと思ってもう一度めを開けると人間になっていました。

人形は嬉しくなって部屋を飛び出しました。

ですがドアの前に居たのは神様でした。


神様は人形を誰よりも愛していました。

人形は神様を呪っていました。

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